2013 年 39 巻 2 号 p. 276-280
ニホンジカの分布は依然として拡大傾向にあり,のり面緑化工事においても脅威となっている。獣害対策には多種の方法があるが,人為的活動を妨げず,植生の成立を阻害しない立体的構造物である階段式防獣網「シカガエシ」を地表に設置することで,ニホンジカによる食害を防除する方法を13 年間の設置実験により検証した。その結果,比較対照区においては,低木木本類は食害を受け成立本数は2 種0.6 本/mであったのに対し,階段式防獣網を設置した試験区では9 種2.0 本/m2 の低木木本植物による緑化の成立を確認できた。