日本緑化工学会誌
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39 巻, 2 号
2号
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特集
  • 戸田 浩人, 古澤 仁美
    原稿種別: 特集
    2013 年39 巻2 号 p. 225
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
  • 崎尾 均, 久保 満佐子, 川西 基博, 比嘉 基紀
    原稿種別: 論文
    2013 年39 巻2 号 p. 226-231
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    秩父山地においてはニホンジカの採食による森林への様々な影響が見られる。埼玉県秩父市中津川の渓畔林の林床植生の植被率は,1983 年には90% 程度であったが2004 年にはわずか3% にまで減少した。各種の個体数・被度も,ハシリドコロなど一部の有毒な植物を除いては全体的に減少した。調査地の周辺を含む秩父山地では2000 年以降にニホンジカの個体数の増加が報告されていることからも,本調査地の林床植生の減少は2000 年以降のニホンジカの急激な個体数密度の増加と関係していると考えられる。また,草丈が低い植物や生育期間の短い植物が比較的残存しており,植物種の生活史や形態によってもシカの採食の影響は異なる傾向が確認された。
  • 石塚 航, 梶 幹男, 後藤 晋
    原稿種別: 論文
    2013 年39 巻2 号 p. 232-240
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    シカの高い摂食圧は樹木の実生生残数のみならず,生残条件をも変え,更新動態に大きな影響を与えるとみられる。本研究では,実生発生タイミングと当年生残との関係における,シカの季節的な摂食害の影響を評価するため,シカ害のみられる秩父地方の冷温帯林にてシカ防護柵を設置し,柵内外の調査枠内に発生した優占種イヌブナの当年生実生を調査対象とした。個体識別して実生の消長を追跡し,当年生残に対する発生タイミングの効果を,生育地の光条件や実生密度の影響とともに分析し,柵内外で比較した。柵外区の実生当年生残率(2.0 %)は柵内区の生残率(9.4%)よりも有意に低く,死亡実生の73.8% がシカ摂食害によるものだった。死亡要因は顕著な季節性を示し,シカ害は実生発生初期に,柵内区の主たる死亡要因である菌害(全実生の79.0%)は生育中期に集中していた。統計解析によって,柵内外で実生の発生タイミングが当年の生残に影響していることがわかったが,柵外区では早い発生が不利に,柵内区では早い発生が有利になっており,対照的な影響が検出された。早い発生の有利性はシカの存在下では失われ,季節性のあるシカの摂食によって実生生残の動態が変わることもあると示唆された。
  • 山中 啓介, 林 晋平
    原稿種別: 論文
    2013 年39 巻2 号 p. 241-247
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    ニホンジカが生息している島根半島西部の弥山山地において,松くい虫被害跡地の再生方法や今後の森林管理方法を検討するため,16 ヶ所の植生を調査した。高・亜高木は常緑樹29 種,落葉樹42 種が確認された。このうち,出現本数や胸高断面積合計で高い値を示したのはアブラギリ,ヤブツバキ,シロダモ,アカマツであった。低木の総合優占度ではヤブツバキ,シロダモが高・亜高木と同様に高い値を示した。したがって,これらの樹種はシカが生息している状況でも本地域で生育が可能な樹種であると考えられる。一方,アブラギリ,アカマツは低い値であった。このことから,本地域の植生は,シカ防護柵など人為的にシカの排除を行わない限り,ヤブツバキやシロダモを主体とする多様性の低い常緑樹林に移行すると考えられた。
  • 境 優
    原稿種別: 総説
    2013 年39 巻2 号 p. 248-255
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    近年,シカの過採食によって劇的に森林の下層植生が衰退している。本来ならば夏期には渓流を覆うように繁茂する渓畔植生も,シカ高密度地域では壊滅状態に追いやられている。河畔植生は,林床を覆って土壌の流出を抑制したり,訪花昆虫,食植性昆虫などを渓流に供給したりすることで,森林と渓流生態系をつなぐ重要な役割を果たしている。土壌侵食の活発化は,無機物的な側面では,土砂流入による河床改変を引き起こし,底生動物群集の多様性低下を招く。一方有機物的な側面では,森林由来の他生性有機物が渓流に過剰に流入することで渓流生態系内の栄養循環に変化をもたらす可能性がある。前者のような土砂の堆積プロセスは河川地形に応じて空間的に不均質であるため,シカによる土砂流出が渓流生態系に及ぼす影響の評価には,河川地形学や森林水文学など生態学に囚われない学際的な視点が重要である。一方,渓畔植生から渓流への陸生動物の供給がシカの過採食によって変化すると,森林-渓流生態系のつながりを通して魚類も含めた生態系内の栄養循環のバランスが崩れることが示唆された。
  • 田代 慶彦, 下園 寿秋, 中村 克之
    原稿種別: 技術報告
    2013 年39 巻2 号 p. 256-259
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    シカが高密度に生息する地域に開設されている林道の切土法面において,シカ不嗜好性植物を使用した吹付緑化試験を行い,植物の被覆状況と土砂流出量について,牧草を主体とした従来の吹付工と比較した。吹付工は1 月に実施したが,シカ不嗜好性植物区では,食害はなく,冬季は夏緑性であるタケニグサの地上部の枯死による被覆率の低下がみられたものの,翌春には,新葉の展開により被覆率が回復した。一方,従来の吹付工では,深刻な食害を受け吹付当年の秋以降に急激に被覆率が低下した。土砂流出量については,翌年の春以降に試験区間で大きな差がみられ,不嗜好性植物区では土砂流出量が小さかった。以上のことから,シカが多い地域での,不嗜好性植物による吹付緑化工の有効性が確認できた。
  • 大洞 智宏, 渡邉 仁志, 横井 秀一
    原稿種別: 技術報告
    2013 年39 巻2 号 p. 260-263
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    岐阜県西濃地域では,ナラ類の枯損による林冠ギャップ下であっても,植生の発達がみられない箇所が存在する。西濃地域は以前からニホンジカが生息し,生息密度も高いことから,シカの採食によって森林の更新が阻害されている可能性が考えられた。そこで,シカ柵を設置し,植生の変化を観察した。調査地は,岐阜県揖斐郡池田町のナラ枯れによって発生した林冠ギャップのうち4 カ所とした。シカ柵設置直後の各調査地の植被率合計は約6 ~23% であった。柵外の方形区では,シカの嗜好性の低いシダ類以外の植被率の増加はほとんどみられなかった。柵内の方形区では植被率合計は増加し(52~138%),特にキイチゴ類,ススキの増加が顕著であった。調査地4 では,表土流亡によって,実生の定着が妨げられている可能性が考えられた。高木性種は成長が比較的遅く,成長の早い低木生種などの下層に存在することが多いため,低木性種などが繁茂することにより,高木性種の侵入・生育が妨げられる可能性がある。これらのことから,この林分において,高木性種による速やかな更新を望む場合には,シカ柵を設置し,表土流亡の抑止や刈り出しなどの更新補助作業を実施する必要があると考えられた。
  • 渡邉 仁志, 茂木 靖和, 岡本 卓也
    原稿種別: 技術報告
    2013 年39 巻2 号 p. 264-267
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    ニホンジカの生息密度が高い岐阜県郡上地域において,ヒノキ2 年生造林地におけるシカ食害の発生状況を把握し,植栽木の樹高や下刈り省略がヒノキ造林地の食害の発生に及ぼす影響を検討した。頂枝の食害は,下刈り省略区に比べ下刈り区で多く発生した。下刈り省略区では,下刈り区よりも植栽木周辺の植生(雑草木)の量を表す指標(雑草木の植生高,植被率,遮蔽方位数)がいずれも大きかった。また植栽木の樹高が高いほど食害発生率が低下する傾向がみられた。このことから,造林地では下刈りの回数や方法を工夫することに加え,植栽木を速やかに成長させることによって,シカによる食害が軽減できる可能性が示唆された。
  • 塩入 圭介
    原稿種別: 技術報告
    2013 年39 巻2 号 p. 268-271
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    ニホンジカの採食による法面緑化植物の衰退・枯死を防除するための「鹿止金網(しかとかなあみ)」を開発した。鹿止金網は 3cm の厚みを持たせた立体的な金網であり,網目寸法は 40 mm に設定している。この鹿止金網を法面緑化工の併用工法として植生マット・シ-トの上に設置し固定することで一定以上の草丈が確保でき,また生育基盤の踏み荒らしを防除することができる。草本種播種工に用いられるイネ科植物は他の植物とは異なり,成長点を地面付近に持つため,ある程度の草丈を維持できれば衰退を防ぐことができる。これまでの採食されないようにする工法から採食されても植生を維持するという発想の転換により開発した工法である。
  • 石田 仁
    原稿種別: 技術資料
    2013 年39 巻2 号 p. 272-275
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    1983~1984 年に慶良間群島阿嘉島(4.00 km2)において,メッシュ法(100 m×100 m)を用い,樹木およびケラマジカ(Cervus nippon var. keramae Kuroda)による樹皮剥皮の島内分布を調査した。全400 メッシュのうち95 メッシュ(23.8%)で樹皮の剥皮が認められた。全調査を通じて,108 種の樹木を記録し,そのうち22 種(高木16 種,小高木6 種)で剥皮が認められた。剥皮が認められたメッシュ割合が最も高かったモチノキにおいても,その値は約3 割に過ぎず剥皮を受けていない立木が多く存在していた。
  • 池田 昌義, 沓澤 武, 福永 健司
    原稿種別: 技術資料
    2013 年39 巻2 号 p. 276-280
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    ニホンジカの分布は依然として拡大傾向にあり,のり面緑化工事においても脅威となっている。獣害対策には多種の方法があるが,人為的活動を妨げず,植生の成立を阻害しない立体的構造物である階段式防獣網「シカガエシ」を地表に設置することで,ニホンジカによる食害を防除する方法を13 年間の設置実験により検証した。その結果,比較対照区においては,低木木本類は食害を受け成立本数は2 種0.6 本/mであったのに対し,階段式防獣網を設置した試験区では9 種2.0 本/m2 の低木木本植物による緑化の成立を確認できた。
特集
短報
  • 阿部 佑平, 柴田 昌三
    原稿種別: 短報
    2013 年39 巻2 号 p. 295-300
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,光環境とチュウゴクザサの実生の成長との関係を明らかにするため,異なる光環境下(相対日射量が約90%,73%,55%,28%,15%の5 つの試験区)でチュウゴクザサの実生を育成し,成長量に関して調査を行った。調査の結果,チュウゴクザサの実生は,日射量が全天下の半分程度の試験区で地上部及び地下部の成長量が大きく,それより日射量が大きいまたは少ない環境下では成長量が小さいことが明らかとなった。チュウゴクザサの自生地においては,林冠ギャップ地の相対日射量は44~56% であり,林冠下の相対日射量(16~32%)より有意に大きかった。これらのことから,光環境はチュウゴクザサの実生の地上部と地下部の成長に影響を与えると考えられ,自生地においては,林冠ギャップ地のような比較的明るい環境が実生の成長に有利であると考えられる。また,本研究では,いずれの試験区でも1 年生の実生において地下茎の発生が確認され,2 年生から3 年生の実生にかけて地下茎の伸長が確認されたことから,チュウゴクザサは光環境に関わらず更新初期段階から地下茎を伸長させるといった旺盛な地下茎の伸長様式を有すると考えられる。
技術報告
  • 外崎 公知
    原稿種別: 技術報告
    2013 年39 巻2 号 p. 301-306
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    京都議定書の枠組みに位置づけられている植生回復に関する報告対象のうち,土壌に焦点をあてて炭素ストック変化量の把握に向けた調査を行なった。東日本高速道路株式会社が管理する整備年度が異なる高速道路区間の盛土のり面における草本植物の被度・群度,リタ-の堆積状況,毎木調査の結果を踏まえ,植生別の土壌炭素ストック変化量について考察した。その結果,土壌の炭素ストック変化量は,種子吹付の草地では造成後概ね15 年間は2.47 MgC/ha/year,15 年以降概ね 30 年間はほぼゼロと推計された。また,ユニット苗による樹林地では造成後概ね 15 年間は下草の影響を除き 0.81 MgC/ha/year,15 年以降概ね 30 年間は 6.58 MgC/ha/year と推計された。
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