抄録
クロマツの生育不能な海岸後背湿地帯に試験的に植栽されたヌマスギが,海岸防災林として機能するか否かを検討するため,両樹種の苗木を用いて,津波を模した塩水中への水没時間と,水分条件の異なる土壌環境で育成したときの生存率と成長を比較解析した。ヌマスギは冠水環境下では6時間以上の水没で,非冠水環境下では12時間以上の水没で枯死率が約30 %を超え,生存した個体でも成長の抑制がみられた。クロマツは非冠水環境下では24時間の水没でも枯死率が14 %に留まり,成長の抑制はみられたが生存は可能であった。一方で,冠水環境下では0時間の水没でも枯死率が約30 %となり,ほとんどの個体が枯死した。