2018 年 44 巻 1 号 p. 194-196
キンラン(環境省絶滅危惧Ⅱ類)の自生地復元の手法として,野外へ直接播種する手法を検討し,いくつかの知見を得たので報告する。ラン科植物に特有の,貯蔵栄養を持たない微細な種子を,スティック状の細板(幅5 mm×厚さ2 mm)に両面テープを用いて多量に貼り付けた。この「種子スティック」を2015年1 月にクヌギ,コナラが優占する林内に5 cm 深に埋設して継続観察したところ,約2 年3 ヶ月後の2017 年4 月に,地上部シュート(以後シュートと表記)の発生および開花を確認した.また,2018 年4 月には,更にシュート数の増加が確認できた。