2018 年 44 巻 1 号 p. 197-200
秋の七草として人との親和性が高い野草カワラナデシコの大規模攪乱に対する生態的特性を把握するため,2011 年の東日本大震災で津波被害を受けた海岸林において,被災3 年後及び5 年後にカワラナデシコの生育量調査を行い,その変動を検討した。結果,被災3 年目から5 年目にかけて著しい個体数の増加が認められた。一方で個体密度の増加割合と草本層植被率および開空率との間に相関関係が認められたことから,津波による表土流出と各区画の個体密度の粗密との関連が示唆され,これには本種の攪乱依存性が関与していると考えられた。本種は人為的管理や津波等の攪乱によって個体群を維持してきたと推察される。