塩水による浸漬期間の差異が川砂へ播種したクロマツ種子の出芽率と発芽率へ及ぼす影響について検証実験を行った。なお,地表面から胚軸が確認できたものを出芽,種皮の裂け目から幼根が目視できたものを発芽とした。実験の結果,塩水浸漬が長い試験区ほど出芽の開始が遅れ,出芽率が低下した。一方で発芽率は塩水浸漬期間が長い試験区においても低下しなかった。よって,塩水浸漬期間が長期化すると,種子の発芽より出芽数が抑制されることが確認された。すなわち,津波や高潮による塩水冠水期間が実生の発生数に影響をおよぼす可能性が示唆された。