絶滅危惧種であるクゲヌマランの保全には,自生地において種子繁殖による個体増殖を目指すことが望ましいと考えられる。そのためには,種子発芽および初期成長状況を把握することが重要である。今回,本種が生育する埋立地の植栽林において野外播種試験を行い,2 年間にわたって成長を観察した。その結果,発芽率は播種後1 年で顕著に増加した後,ゆるやかに上昇した。このことから,本種はシードバンク形成能力をもつ一方,短期的に一斉発芽する生態をもつ可能性が示唆された。播種2 年後にはシュートが地上方向への成長を開始したことから,保全のための播種の実用性が確認されるとともに,都市緑地を本種の保全に活用できる可能性が高まった。