日本では再造林が放棄されている皆伐地が増加しており,斜面崩壊を防ぐための人工緑化が急務である。皆伐地の土壌は酸性かつ貧栄養であるため,これらの環境に耐性を持つ苗木を用いる必要がある。外生菌根菌を接種した苗木の皆伐地における緑化樹としての有効性を検証するために,熊本県球磨村の皆伐地に外生菌根菌を接種したカシ苗を植栽した。植栽から16 ヶ月後のアラカシとウラジロガシの成長は,非接種の苗木と比較して,ツチグリを接種もしくはタマネギモドキを接種した苗木において促進された。これらの結果から,外生菌根菌を接種したカシ類の苗木は,皆伐地のような酸性かつ貧栄養環境の緑化に有効であると考えられた。