2019 年 44 巻 3 号 p. 528-532
ラン科着生種における野外播種法は,地生種に比べ実践例が限られている。本研究では,クモランをモデルとし,野外播種法と,栽培条件下における共生菌を活用した播種法を検討した。野外播種試験では,ナイロンメッシュの種子袋を親株近傍に固定し自生地のコケで被覆することで,多量の実生が得られた。栽培条件下での播種試験では,人工増殖した共生菌を接種することで,多くの実生を得ることができた。また,栽培条件下でカヤランが付着する枝にクモランを播種しても発芽に成功した。本研究で得られた知見は着生種の保全に大きく貢献することが期待される。