日本緑化工学会誌
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特集「ラン科など移植困難植物の野外播種試験を用いた保全」
野外播種試験はツツジ科にも有効 ~日本での分布南限地におけるオオウメガサソウ保全のための取り組み~
伊藤 彩乃庄司 顕則山下 由美遊川 知久
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2019 年 44 巻 3 号 p. 533-536

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抄録

野外播種試験を,ラン科植物以外に活用した例として,ツツジ科イチヤクソウ亜科が挙げられる。イチヤクソウ亜科は,ラン科植物と類似した生態を持つ菌従属栄養性の高い植物である。筆者らは,オオウメガサソウ(環境省準絶滅危惧)の国内での分布南限地である茨城県で,本種の保全を目的に,野外播種試験を試みている。播種からわずか6か月で発芽が確認され,全体の発芽率は15.5%となった。幼若個体のDNA分析により,発芽に関わる共生菌の種類も明らかになりつつある。本報告では,これまでの取り組みと今後の展望について紹介する。

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© 2019 日本緑化工学会
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