自然地の健康増進効果の検証は都市公園や管理された森林環境が中心に行われており,衛生面や安全面でネガティブな印象のある湿地や湖沼を対象とした研究はほとんど行われていない。そこで本研究では都市近郊の遊水地において,近隣勤務者の利用状況に関する質問紙調査と散策利用による心理的効果の評価を行った。質問紙調査から遊水地利用者の属性や利用状況などが明らかになり,アクセシビリティなどの課題を改善することでより利用が活発になる可能性が示唆された。また心理評価の結果から,臭いや安全性への懸念があるものの,利用により十分な心理的効果が得られることが明らかとなった。