都市人工林の更新過程を把握するため,植栽後35 年が経過し林冠部が閉鎖した落葉広葉樹林,常緑針葉樹林ごとの林床環境が7 年生以下の木本実生の侵入定着過程に与える影響を検討した。広葉樹区の林床はミヤコザサが優占し,針葉樹区では特定の種の優占はなかった。両林分で実生が生育する林床の光量はササの有無によらず低く差はなかったものの,広葉樹区は開葉期にやや明るい値だった。広葉樹区で林床植物の生存に有効な春季の光量があるにもかかわらず,実生は針葉樹区で生存個体数が維持され,広葉樹区では生存個体数は少なかった。ミヤコザサが優占する落葉広葉樹林の林床では,実生の定着に光以外の阻害要因が関与していることが把握された。