日本緑化工学会誌
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論文
海浜植物のケカモノハシとビロードテンツキの発芽深と分布に与える堆砂の影響
岡 浩平 吉﨑 真司
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2020 年 45 巻 3 号 p. 377-383

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抄録

本研究は,海浜植物のケカモノハシとビロードテンツキの分布要因を明らかにするために,2種の実生がどの程度の深さで発芽しているか評価した。調査は,遠州灘に面した福田海岸を対象にして,汀線からクロマツ林の手前にかけて3本の調査測線を設置し,植生調査と微地形,堆砂深の計測を行った。また,前砂丘頂部,前砂丘陸側斜面,前砂丘後背地の3つに分けて,1 m × 1 mの方形区内に発生した2種の実生を掘り取り,発芽深を測定した。また,2種の果実の重量を計測した。調査の結果,ケカモノハシは前砂丘頂部の堆砂の多い立地,ビロードテンツキは前砂丘後背地の堆砂の少ない立地に主に分布していた。2種が混生していた前砂丘陸側斜面の発芽深を比較すると,ケカモノハシは,ビロードテンツキよりも有意に値が高かった。ケカモノハシは,ビロードテンツキよりも種子が重いことから,種子内に含まれるエネルギーが多いために,深い場所から発生できたと考えられる。この2種は,個体群の維持・拡大を種子繁殖に依存していることから,実生の発生段階における堆砂への耐性の違いが分布にも影響していると考えられた。

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© 2020 日本緑化工学会
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