日本緑化工学会誌
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論文
市町村域スケールにおけるメッシュ法による植物相調査(Ⅰ)ルート設定と調査努力量
松田 義徳 蒔田 明史
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2020 年 45 巻 3 号 p. 384-393

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抄録

市町村域スケールの植物相調査で,①既存資料を活用した調査ルート設定法を検討し,②それに基づいて植物相調査を行い,調査時間や調査季節と確認種との関係から適切な調査努力量と調査時期を検討した。調査は,2004年春季(5―7月)と秋季(9―10月)に秋田県由利本荘市の第3次地域メッシュ(約1 km × 1 km)12カ所で実施した。事前に作成した地形区分図と立地リストで調査ルートを設定し,1メッシュ当たり各季8時間の植物相調査を行った。その結果,総計937種の生育を確認したが,メッシュ内の全ての地形を含み,より多くの立地を調査するルート設定の重要性が明らかとなり,地形と植生とを把握できる地形区分図と立地リストの有効性が明らかになった。確認種は調査時間が増えるに従って増加したが,累積時間が6時間経過後に増加率は低下した。季節により確認できる種が異なるため,別の季節での2時間の調査を含む1メッシュあたり6時間調査で,全確認種の約7割を把握できることを確認した。こうした調査法により,地域植物相の概要を把握し,地域資源の活用をはかる財産目録づくりに貢献できる。

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© 2020 日本緑化工学会
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