古くから桜の景観で知られる茨城県桜川市において,カスミザクラ及びヤマザクラの更新特性を調査した。筑波山系を中心に,12カ所の森林で毎木調査を行った。その結果,カスミザクラの幼木が多く記録され,ヤマザクラとあわせた2種の直径階分布が明瞭なL字型を示す更新良好地が3か所見つかった。また,胸高直径が9 cm以下の幼木個体数と森林特性との関係を,一般化線形混合モデルを用いて調べたところ,萌芽率が高い森林で幼木が多く生育する傾向にあった。萌芽率と幼木個体数との間に正の関係がみられたことから,短い周期での伐採を伴う里山管理は,桜の景観を保全する上で重要であると推測された。