市民参加等による植樹イベントには,明確な目標植生が定められずに,漠然と森づくりを目的としたものが多い。そのような植樹林では,目標を明確に再設定し,そこへ導く必要がある。本研究では,鳥取県内の植樹イベントが行われた工場の事例地において,(1)目標植生を再設定する方法と,(2)そこへ誘導する過程を,検討した。植樹林とその近隣の自然林及び二次林の種組成と構造を比較した。その結果,事例地では,ミズメやミズナラが混生するブナ林が目標植生として再設定された。また,それに至る道筋として,ブナ林とその途中相であるコナラ林の中間的な種組成の樹林を経由するのが適切であると判定された。