高速道路の盛土のり面樹林がグリーンインフラとして地域生態系に果たしている役割を把握することを目的に,鳥類を指標に樹林地,農耕地,住宅地の3地域で毎月1回のラインセンサス調査を2年間実施した。調査箇所は,地域毎に盛土のり面樹林沿いと対照区の2箇所とした。調査の結果,農耕地の盛土のり面樹林沿いでは樹林性鳥類が多く確認された。また,住宅地では盛土のり面樹林沿いは,対照区に比べて鳥類が多く,多様度も高かった。利用状況に着目すると,住宅地では盛土のり面樹林沿いは,対照区に比べて採餌が多かった。以上のことから,農耕地及び住宅地では,高速道路の盛土のり面樹林は鳥類の多様性の向上に寄与していると考えられた。