2022 年 47 巻 4 号 p. 505-509
開花景観を地域資源とする上での基礎的知見として,野生条件下におけるシュンランの開花状態について,咲き始め,再伸長位,萎え始め,花枯れの4つの開花ステージを設け,花毎にそのステージに達した日を記録した。2021年2月下旬に蕾があるシュンランの株を任意に20株選び,近傍に定点観測カメラを設置し,1日1回の撮影を同年5月中旬まで継続した。また,林内の地表付近に温度ロガーを設置し,1時間ごとに気温を計測した。本調査により,2021年に関しては3月20日頃より多くの開花が見られ,群落単位で観賞価値を保つのが4月20日頃までの約1ヶ月間であったことが明らかになった。また,2021年は3月21日に咲き始めが集中していた点が特筆された。その日は,①約10日間比較的温暖な日(平均気温8~10 ℃)が続いた,②当日の平均気温が13 ℃を越えた等が特徴的であり,また③有効積算温度では80 ℃・日を超える時期でもあった。シュンランの咲き始めを誘発する引き金として,気温の高まりが強く関与していることが示され,有効積算温度等で推定出来る可能性が示唆された。