小児耳鼻咽喉科
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原著
ダウン症児の難聴の検討
吉冨 愛馬場 信太郎金丸 朝子
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2018 年 39 巻 3 号 p. 312-319

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抄録

2010年3月から2016年11月までに東京都立小児総合医療センター遺伝科を受診したダウン症児298例のうち,新生児聴覚スクリーニングで要再検か,難聴疑いで耳鼻咽喉科にて精査を受けた46例を対象に,聴力・聴力経過・原因・補聴器装用状況を検討した。初診時年齢は,0歳1か月~1歳5か月(平均0歳5か月),転帰時年齢は,0歳4か月~8歳(平均2歳11か月)であった。初回検査では43例74耳に難聴を認めたが,55%は経過中に聴力閾値が改善し,最終的に35例46耳に難聴を認め,軽度28耳,中等度5耳,高度1耳,重度12耳であった。側頭骨CTを撮影した重度難聴例は,7例8耳全例で蝸牛神経管狭窄を認めた。滲出性中耳炎の合併率は64.9%であった。補聴器装用例は11例であったが,5例は経過中に聴力が改善し,装用中止となった。ダウン症児は聴力閾値が改善する例が多く,長期的なフォローが重要である。

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© 2018 日本小児耳鼻咽喉科学会
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