2022 年 48 巻 2 号 p. 391-396
壁面緑化施工地でヘデラ・ヘリックスの立枯症状が認められたため,発症/非発症の植栽ユニット内の土壌を採取し,土壌微生物相を解析した。計9サンプルのDNA検出数合計においては,門不明を除き,Ascomycota門が優占していた(69.9%)。Ascomycota門において,発症の有無別で平均DNA検出数に比較的大きな差が認められたのはSordariomycetes綱であり,なかでも発症ユニットで著しく高い値を示したのはHypocreales目のNectriaceae科であった。Nectriaceae科における属別での比較では,Fusarium属及び属不明が発症ユニットで著しく高い値を示し,他の属のDNA検出数は僅かであった。ただし,Fusarium属において発症ユニットで特異的に高いDNA検出数を示したのはF. solaniであったにも関わらず,本細菌の一般的な病害症状と本緑化施工地におけるヘデラの症状には不一致が認められた。また,植栽ユニット内の温度を連続計測した結果,植栽ユニット内は1日の温度変化が小さく,夏季は平均温度が25℃を越えるような高温状態が幾日も続いていた。これによりFusarium属菌が増殖し,立枯症状が生じたものと推察された。