森林創出に着目した法面緑化事例が増えつつある一方,長期的に植生を評価できる基準は示されておらず,その整備に必要な法面植生の長期的な変遷の知見も不足している。本研究では造成から約50年が経過した九州自動車道ならびに中央自動車道の播種工により緑化された盛土法面8地点において植生調査ならびに周辺林分の判読を行い,先行研究で示された名神高速道路の盛土法面植生の変遷と比較した。九州自動車道ではタケ類が優占する法面が多くみられ,周辺林分の判読結果からもタケ類が侵入する可能性が高いことが示された。中央自動車道では落葉広葉樹主体の法面が多く,一部の調査地周辺地域におけるマツ枯れ発生後にアカマツが定着できる環境が維持されていたことが示唆された。2路線における成立植生をクラスター分析により分類した結果,落葉広葉樹群落とメダケを指標種とする群落の2パターンに分けられ,約50年経過時点までの植生の変遷は名神高速道路と同等であった。一方,植生の変遷に対する気温や周辺植生に起因する地域差の影響が示唆され,現在解明されている盛土法面における植生の変遷を評価基準とするためには更なる事例の蓄積の必要性が考えられた。