ゲンジボタルとヘイケボタルの両種が確認される和歌山県孟子不動谷において,発生時期と分布の違いを明らかにする目的で,夜間の発光個体数調査と生息環境の調査を行った。その結果,ヘイケボタルはゲンジボタルよりも発生時期が長く,発生ピークが複数回あることが確認された。また,ゲンジボタルは湛水域を伴う水田区画に隣接した細流沿いに,ヘイケボタルは湛水域を伴う水田区画内に個体が集中していた。さらに,ゲンジボタルの発生地点は,発生初期から終盤にかけて下流域から上流域までだったことに対し,ヘイケボタルの発生地点は,発生初期には上流から下流までだったが,発生期間の中盤以降は下流域に限定された。