2023 年 49 巻 1 号 p. 57-62
本研究は,仙台湾沿岸の津波被災地を対象に,外来植物オオハマガヤの分布と海浜植物への影響を解明するために実施した。まず,小型UAV による空撮画像を用いて,オオハマガヤと在来のテンキグサのパッチ分布を調べた。次に,オオハマガヤが繁茂する範囲に5 本の測線を設け,合計155 地点で植生と光環境を調べた。オオハマガヤは,テンキグサに比べて,防潮堤より陸側の地盤高1.0~2.0 m に多かった。また,オオハマガヤの被度や植物高が高い場所ほど,相対光量子束密度が低く,海浜植物の被度や種数も低値を示した。以上のことから,オオハマガヤによる被陰により,防潮堤より陸側では,海浜植物の生育が阻害されやすいと考えられた。