2023 年 49 巻 1 号 p. 69-74
京都市鞍馬本町の伝統行事「鞍馬の火祭」では, 松明の「柴」として太さ1~2 cm のコバノミツバツツジなどの広葉樹中低木種の萌芽枝が用いられてきたが, 近年, 同町内での調達が難しくなっている。本研究では, 鞍馬本町におけるコバノミツバツツジの潜在生育地の推定や, 立地検討, 現地調査を行い, 資源利用ポテンシャルを明らかにした。同種の生育特性を基にしたGISによる推定の結果, 同町内全域の33.2%が潜在生育地と判定された。また, 聞き取り調査や現地調査の結果, 現状1年あたりに使用可能な同種の萌芽枝は, 松明に必要な量の約30分の1であり, 資源利用ポテンシャルは低く, 生育環境改善が必要であることが示唆された。