本研究は,瀬戸内海沿岸部の小規模な砂浜海岸を対象に,漂着物が帯状に堆積した打ち上げ帯に着目し,植生の種組成や立地環境に関する基礎資料を得ることを目的とした。調査は,広島県3か所,愛媛県1か所の計4か所を対象に,打ち上げ帯の出現種とそれらの生育する標高を調べた。調査の結果,突堤に囲まれた開放度が小さい地点では,外来植物のホコガタアカザや塩生植物のホソバハマアカザの個体数が多かった。また,開放度が大きい地点ほど,打ち上げ帯の出現種の標高が高くなった。これらのことから,波による攪乱の頻度や強度が打ち上げ帯の種組成や標高に影響すると考えられた。