長野県根羽村では山地酪農が進められており,その一貫として,餌資源活用と植生管理の目的で,斜面林(隣接する遊休農地を含む)への林間放牧が2019年に行われた。本研究では,放牧前と放牧後3年間の植物群落調査を行い,植生変化を解析した。現地の植生は斜面林6群落,草地4群落に区分され,放牧区域外の1群落(カラマツ-ヒノキ林)を対照区とした。放牧後,ササ類の稈密度はスギ林以外で回復した一方,稈高は矮化した。ササ類以外の種組成の変化は顕著ではなく,放牧後に増加した種と減少した種とで生育型組成の一致度が低かった。また,斜面林と草地の境界付近の群落で,雑草類の侵入種数,消失種数とも多い傾向が見られた。