2025 年 51 巻 1 号 p. 109-114
本研究は,東北地方太平洋沖地震により拡大した後背湿地を対象にして,地盤の沈降と隆起が絶滅危惧種イヌセンブリの分布に与えた影響の解明を目的とした。イヌセンブリの分布調査の結果,合計368株が確認され,0.2~0.3 mの地盤高に集中して分布していた。2019年から2022年の植生図の変化を調べたところ,イヌセンブリは湿生植物群落が継続した場所に多く,陸生草本群落に変化した場所では少なかった。また,高地盤域ほど陸生草本群落などへの変化割合が高く,地盤の隆起による湿地環境の乾燥化によって,イヌセンブリの分布は低地盤域に限定されていることが推察された。