日本文化において伝統的に利用・表現・鑑賞されてきた植物 (伝統文化植物)は多様にあるが,都市化が進む暮らしのなかでそれらを次世代に継承していくことが課題となっている。本研究では,大阪市の小学生(207名)を対象に,伝統文化植物(20種類)の認識(実際に見たことがある,名前を知っていた)に関するアンケート調査を行い,認識に影響を与える要因(性別,学年,近隣における自然体験の頻度,校内植栽の有無,教科書掲載など)を検討した。その結果,認識には植物による差があり,サクラとアサガオには高い認識が示されたが,都市で減少傾向にある草原や水辺に生息するハギやカキツバタなどの認識は低かった。一方,性別や学年による認識の差は少なく,近隣における自然体験の頻度が高い児童の認識や校内植栽がある植物の認識は高かった。継承に向けた方策としては,植物の認識の高低に応じた対応や,都市で伝統文化植物を観察できる機会や空間を増やすことが有効と考えられた。また,教科書の掲載状況には植物の種類による違いがみられたため,伝統文化植物に関する学習内容の充実や児童の認識が低い植物に対する適切な説明が必要と考えられた。