日本統計学会誌
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統計と統計学の将来
溝口 敏行
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1992 年 21 巻 3 号 p. 329-332,264

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抄録
統計学の将来や統計のあり方を予測するには,次の4点に注目すべきである.第1は経験的アプローチと理論的アプローチのバランスである.経済予測における「理論なき計測」の失敗を克服するものとして発足した「計量経済学」も,石油危機への対応に成功したとはいえず,時系列モデルを中心として経験的アプローチの復活をもたらした.両者には相補的な役割がある.第2は実態をよく反映するデータの入手である.現実を反映していないデータをいかに精密に分析しても経済予測の精度は向上しない.第3は統計資料の精度の吟味である.これは統計環境にも依存している.第4は統計学の学際性である.他の分野の専門的な理解と共に,統計学者の経験交流も必要である.
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