日本統計学会誌
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計算機社会と統計的データ処理
赤池 弘次
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1992 年 21 巻 3 号 p. 323-327,264

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抄録
計算機は超人間的な知的能力を持つ存在ではない.計算機社会の本質は,計算機により実現される正確・高速な通信機能を利用する情報社会である.チューリングは,計算機を一定の規律による賞罰システムで訓練して特定の能力をもたせることは可能であるが,人間の知的能力を生み出すためには独創力を与えることが必要であると認識していた.われわれの統計的データ処理は,具体的な問題の解決法の劾率よい探索を目指している.これは計算機の知的な利用の一つの姿である. AICの導入によってモデル探索の論理的な障害は除去され,計算機の容量と速度の増大が,統計的データ処理の発達に有効に利用される状況が発生している.統計学が文化の中に確固たる地位をしめるようになることに期待したい.
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