2024 年 41 巻 2 号 p. 101-104
屈筋腱皮下断裂は,様々な原因や陳旧例も多く,また術式は腱移植や腱移行などが行われており,報告によって成績が安定していないのが現状である.近年,wide awake surgery の手技に関する報告が散見されるが,成績に関するものは少ない.著者らは,屈筋腱皮下断裂の7 例7 指に対し,ターニケットを使用せずに局所麻酔で橋渡し腱移植を行い,早期自動運動療法を行ったため,その治療成績について報告する.術後の%TAM は平均78.9(54.5~103)%であり,日手会機能評価では,excellent 2 指,good 2 指,fair 3 指であり,poor 症例はなかった.術後の屈曲不全が出た時期は,平均1.6(1~3)週であった.術中では全例において自動運動で十分に屈曲ができることを確認したが,術後は屈曲不全となる症例があり,成績は安定しなかった.局所麻酔で行うwide awake surgery での腱移植は成績が不安定であり,屈筋腱皮下断裂の腱移植に対しては必ずしも優れた方法ではない.