日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
TFCC 損傷と月状三角骨間靭帯損傷に着目した手関節尺側部痛の診断と手関節鏡視下手術
富田 一誠久保 和俊久保田 豊酒井 健池田 純川崎 恵吉
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2024 年 41 巻 2 号 p. 96-100

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抄録

三角線維軟骨複合体(以下TFCC)損傷に対して手術治療を行った症例を後ろ向きに調査し,月状骨三角骨(以下LT)間靱帯損傷に着目して,手関節尺側部痛の診断と治療効果を報告する.対象は126 例で,平均年齢は36 歳,平均術後観察期間は26.8 か月であった.最終診断は,Fovea 剥脱115 例,背側橈尺靭帯損傷34 例,LT 間靭帯損傷は29 例などであり,TFCC 単独損傷は28.0%で,LT 間靱帯損傷合併は23.2%であった.Visual analog scale は,術前平均72.0 が最終平均7.3 で有意に改善し,日手会手関節障害機能評価は術後平均95.6 で,Excellent が117 例,Good が9 例であった.LT 間靭帯損傷合併の有無や形態の違い,Geissler 分類における重症度の差による除痛効果と臨床成績に違いは認めなかった.圧痛や誘発試験にてLT 間靱帯損傷を疑う所見があれば,必ずMCJ 鏡視にて最終診断を行うことが重要である.TFCC 損傷に合併したLT 間靱帯損傷症例に対しての治療は,Debridement,Shrinkage,一時固定,修復術が有用な治療法である.

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