2024 年 41 巻 2 号 p. 151-154
今回,著者らは,尺骨茎状突起骨折に対する骨接合時の手術肢位と透視の工夫としてHanging 法を行い,有用である可能性が示唆されたので報告する.Hanging 法を行った8 例を対象とした.方法として、フィンガートラップを装着した示中指を点滴架台に吊り下げ,肘関節屈曲、手関節中間位を保持した.この肢位のまま骨接合と術中透視を行った.患側の胸の上で助手が患肢に骨接合を行う従来法では,骨接合時と同じ肢位を保持したまま透視画像の確認ができず,術後に鋼線の遠位橈尺関節内迷入や破損の合併症が生じていた.これに対しHanging 法では,水平にしたミニC アームを挿入し水平回転することにより,骨接合時と同じ肢位のまま正面像と側面像を正確に把握することが可能であり,鋼線の遠位橈尺関節内迷入や術後破損は生じなかった.不安定性のある尺骨茎状突起骨折に対する骨接合において,Hanging 法は有用である可能性が示唆された.