日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
爪変形を伴う近位爪郭部発生の粘液嚢腫に対して盲目的掻爬術は有効か
佐野 和史木村 和正
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2024 年 41 巻 2 号 p. 58-60

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抄録

近年,Heberden 結節に伴う粘液嚢腫の治療は,DIP 関節の骨棘もしくは関節包の一部を掻爬除去するのみで嚢腫の切除も不要と考えられ,手術法は簡素化した.しかし,嚢腫の局在や大きさによっては,皮切の位置や形状に工夫を要することも多い.これに対して盲目的掻爬術は,DIP 関節側面の小皮切から掻爬を行う手技で,様々な形態の粘液嚢腫に対して定型的で画一的な手技として対応できるが,爪変形を伴う近位爪郭発生の粘液嚢腫だけは,術後感染と掻爬による爪母損傷を危惧して本法の適応外としていた.今回10 例10 指の同症例に対して本法を施行した.全例で危惧された術後感染や医原性の爪障害は認めず,術前の爪変形も改善した.盲目的掻爬術は,本法の適応に関して懸念のあった爪変形を伴う近位爪郭発生の粘液嚢腫に対しても有効であった.

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