日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
深指屈筋に生じた先天性筋短縮症の治療経験
大塚 純子堀井 恵美子洪 淑貴武重 宏樹
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2024 年 41 巻 2 号 p. 61-64

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抄録

先天性深指屈筋短縮症は,手関節中間位・伸展位で指の伸展が困難となる稀な疾患である.手術を施行した1 症例の詳細を報告する.3 歳時に左中指から小指の伸展障害に気付き,装具療法を行っていたが,10 歳時に通院を中断した.18 歳時に,前腕内側の疼痛と指の伸展不全によるADL 障害のため受診した.手関節最大掌屈位で中指から小指の自動伸展は可能であるが,手関節中間位・背屈位では伸展は困難であった.Q-DASH score は6.81 点,HAND20 は23 点であった.手術は局所麻酔下に行った.浅指屈筋の筋腹は異常なく,深指屈筋の筋腹は小さく,環指の腱成分が近位まで存在していた.環指は完全切離し,中指,小指の腱も一部切離すると,他動完全伸展が可能となった.環指深指屈筋腱は中指深指屈筋腱に移行した.最終経過観察時に,手関節中間位で中指から小指の伸展不全は残存するが,掌屈20 度で完全伸展は可能であった.Q-DASH score は2.27 点,HAND20 は5 点と改善がみられ,満足度は高かった.

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