2024 年 41 巻 2 号 p. 88-91
手指化膿性屈筋腱腱鞘炎に対して,当科で持続局所抗菌薬灌流(CLAP)療法を施行した7 例の治療成績を検討した.手術はデブリドマンを行った後,感染所見が強い位置に流入チューブを留置し,排液チューブにはサクションドレーンを使用した.抗菌薬は,CLAP 療法にはゲンタマイシンを選択し,経静脈的投与を併用した.Michon 分類はstage Ⅰが0 例,stage Ⅱが5 例,stage Ⅲが2 例であった.術翌日からリハビリテーションを開始した.CLAP 留置期間は平均3.5 日(3~5 日)で,抗菌薬の経静脈投与期間は7 日(4~11 日)であった.全例で感染は鎮静化し,再発やゲンタマイシンによる有害事象は認めなかった.最終経過観察時のHand20 は5.3 点(0.5~13 点)であり,著明な拘縮を残した症例はなかった.CLAP 療法は手指化膿性屈筋腱腱鞘炎の治療法として有用な選択肢の一つと考えられる.