非定型尺骨骨折と健常前腕骨を比較し,尺骨弯曲が非定型骨折に関連しているかを検討した.非定型尺骨骨折8 例のうち,健側に転位を伴う骨折を有さない6 例を対象とし,骨に明らかな異常のない34 例を対照群とした.非定型尺骨骨折の患側で,尺骨遠位から骨折部の長さを尺骨全長で割った骨折部位(%)を計測した.非定型尺骨骨折の健側および対照群で,尺骨の弯曲として,前腕単純X 線正面像におけるaMUB(anterior maximum ulnar bow)と尺骨遠位からの正面最大弯曲点,前腕単純X 線側面像におけるlMUB(lateral maximum ulnar bow)と側面最大弯曲点を計測し,比較検討した.非定型尺骨骨折は尺骨全長の平均67.3%で生じており,正面・側面最大弯曲点とほぼ一致していた.また,弯曲の程度はaMUB,lMUB ともに差がなかった.非定型尺骨骨折は弯曲部位とおおむね一致して生じていたが,弯曲の程度とは関連がなかった.