日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
背側転位型手指中節骨頚部骨折に対する経皮的鋼線刺入固定術―固定方法の検討―
亀山 啓吾大北 弦樹齋藤 正憲佐藤 信隆渡邉 義孝波呂 浩孝
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2024 年 41 巻 2 号 p. 84-87

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抄録

指節骨骨折の中で,中節骨頚部骨折はスポーツにおける突き指などで発生することが多い.徒手整復をしても整復ができないか,外固定で整復位の保持ができない症例では手術適応となる.鋼線固定の方法としてcross pinning(以下CP),intrafocal pinning(以下IFP),経DIP 関節pinning(以下TDP)があり,固定法による術後経過を比較検討した.対象は10 例で,CP 5 例,IFP 2 例,TDP 3 例であった.CP では5 例中3 例で術中に軽度の転位を認めた.IFP では全例で術中もしくは術後に掌側転位を認め,1 例で可動域制限が残存した.TDP では全例で変形癒合を認めなかった.いずれの治療法でも骨癒合が得られ,関節症性変化や骨頭壊死を認めなかった.CP では狭い髄腔に鋼線を刺入することにより転位の可能性がある.IFP では過矯正により掌側転位が生じる可能性がある.TDP は手技も比較的簡単であり,良好な固定が得られた.

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