2024 年 41 巻 3 号 p. 178-181
Snapping triceps syndrome は,上腕三頭筋内側頭の弾発を伴う肘部管症候群である.電気生理学的所見に乏しく,本病態の理解がなければ診断治療に難渋する.症状をきたす病態としては尺骨神経の摩擦性神経炎であると考えられるが,治療では尺骨神経の前方移行に加え,上腕三頭筋内側頭切除が必要となる.術中所見では上腕三頭筋内側頭遠位に破格様の腱成分を認め,切除により弾発の改善を認めた.尺骨神経前方移行のみで症状改善は期待できず,注意を要する.