2024 年 41 巻 3 号 p. 182-184
上肢骨折患者では34.1%が亜鉛欠乏,46.3%が潜在性亜鉛欠乏で,8 割が亜鉛不足状態であった.上肢骨折患者は,体幹ならびに下肢骨折患者に比べて,血清亜鉛値は有意に高く,年齢は有意に低く,BMI は有意に高かったが,骨粗鬆症群との間に有意差はなかった.上肢骨折患者は,血清亜鉛値が極端に低くなくとも,体幹ならびに下肢骨折患者に比べて,若くして骨折を生じていた.骨粗鬆症性骨折の中で比較的初期に上肢の骨折を生じる症例が多いため,骨折予防のための骨粗鬆症評価において,亜鉛充足度のチェックが求められる.