2024 年 41 巻 3 号 p. 232-236
舟状骨骨折・偽関節の治療は,Headless double thread screw(以下HS)での固定がgold standard となっている.近年,強固な固定法として舟状骨用のlocking plate(LP)が開発されたが,2 本のHS 固定がLP 固定と同等の固定力を持つとの報告がある.2019 年以降,当科で不安定性を有する舟状骨骨折・偽関節に対して,2 本のHS 固定を行った10 例を対象とした.平均年齢26.6 歳,1 例を除き男性であった.手術法は,新鮮骨折4 例中3 例で経皮的スクリュー固定,月状骨周囲脱臼の1 例で観血的整復固定術,偽関節6 例中5 例で鏡視下手術,1 例で血管柄付き骨移植術を行った.全例で骨癒合を得た.RL angle の平均は,術前7.9°,術後1.2°であった.術後最終可動域の平均は掌屈61.5°,背屈67.0°,握力健側比は91.1%,Mayo Wrist Score は88.5 であった.2 本のHS 固定は,固定性も臨床成績も良好であり,体格の小さい日本人でも使用可能であった.