日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
外傷性母指CM 関節脱臼に対する治療―当院での5 例の報告―
石原 健嗣中後 貴江松橋 美波
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2024 年 41 巻 3 号 p. 237-241

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抄録

外傷性母指CM 関節脱臼は稀な外傷であり,骨性支持に乏しい母指CM 関節では脱臼整復後に不安定性を生じやすい.治療方法として外固定,経皮的鋼線固定,靭帯修復,靭帯再建などがあるが,その選択については定まった見解がないのが現状である.著者らの施設で治療を行い,経過観察可能であった外傷性母指CM 関節脱臼5 例について調査を実施した.外固定による保存的加療を行った症例では,疼痛や不安定性残存のために後に靭帯再建術を要していた.急性期に靭帯再建あるいは靭帯修復を実施した症例では,疼痛の残存がなく,握力や可動域に関しても良好な成績であった.外傷性母指CM 関節脱臼は疼痛や不安定性残存のリスクがあり,脱臼整復後に再脱臼や不安定性を呈する症例や,保存的加療により症状の残存する症例では,積極的に手術加療を考慮すべき外傷である可能性がある.

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