2024 年 41 巻 3 号 p. 251-254
著者らは遠位橈尺関節障害に対して,尺側手根伸筋半裁腱による制動術を加えたSauve-Kapandji 法を施行してきた.その治療成績および合併症について報告する.当科で本法を施行した23 例で,術前後の疼痛・関節可動域,合併症の有無およびX 線学的評価を行った.疼痛は術後有意に改善し,術前後での可動域悪化や重篤な合併症の発生はなかった.また,画像所見において背側転位やRadioulnar distance 増大などの近位断端の不安定性を示す所見も認めなかった.可及的遠位での骨切りを含めた骨切り部周囲の軟部組織に対する愛護的な手技の徹底,およびECU 半裁腱による尺骨近位断端部の安定化処置により,良好な治療成績が得られた.