2024 年 41 巻 3 号 p. 247-250
手指の変形性関節症に対する関節固定術は,疼痛改善と関節安定性の獲得が可能な術式として広く行われている.一方,術後の隣接関節症変化に留意する必要がある.本研究では,手指の変形性関節症に対して関節固定術を行った症例の術後隣接関節症変化について検討した.対象は,2006 年1 月~2021 年5 月に手指の変形性関節症に対して関節固定術を行い,術後2 年以上経過観察が可能であった19 例20 指とした.隣接関節症変化は,中手骨指節骨間(MP)関節固定術後の1 指で母指第1 手根中手骨(CM)関節に認めた.また,CM 関節固定術後の3 母指でMP 関節3 指,舟状大菱形・小菱形骨間(STT)関節1 指に認めた.隣接関節症変化を認めるまでの期間は,術後平均93 か月(24-144 か月)であった.本研究では,MP 関節とCM 関節の関節固定術後の4 指(20%)に隣接関節症変化を認めた.遠位指節間(DIP)関節と近位指節間(PIP)関節は運動軸が1 軸性であるのに対して,MP 関節とCM 関節は2 軸以上の動きを持つ.このことは,関節固定術後の隣接関節症変化の発生に影響を与える可能性があると考えられた.