日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
側索損傷を伴う中央索欠損に対して中央索再建を行った4 例
長谷川 倫子仲宗根 素子金城 政樹赤嶺 良幸小浜 博太西田 康太郎
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2024 年 41 巻 3 号 p. 255-259

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抄録

外傷による中央索欠損には側索,骨,皮膚の損傷を伴うことが多く,治療に難渋する.今回,側索損傷,骨損傷,皮膚欠損の状態や損傷指に応じて術式を選択し,中央索再建を行った4 症例について報告する.両側側索損傷,もしくは片側全欠損をきたした4 症例中,中指1 例に対しては隣接指の側索を移行するSnow 法を用い,示指2 例に対しては固有示指伸筋腱を近位で切離してturn over する手技を考案し,中央索再建を行った.骨欠損を伴い両側側索が断裂した環指1 例に対しては,中節骨基部に縫着した尺側側索に,橈側側索と中央索を縫合して再建を行い,DIP 関節固定を追加した.皮膚欠損についてはEIP turn over を行った2 例に対して,EIP turn over と同一皮切を用いて第2 背側中手動脈穿通枝皮弁で被覆した.その他の2 例は骨上の皮膚欠損であり,人工真皮で被覆した.術後,全例ともPIP 関節の可動域は良好であり,復職や元の生活への復帰が達成され,中央索欠損に対する適切な術式選択が重要であると考えられた.

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