2024 年 41 巻 3 号 p. 273-279
本研究の目的は,母指CM 関節症に対してCM 関節面を掻把し,内転した中手骨を矯正し,開いた掌側部分に骨移植を行うopen wedge fusion(open 法)と,中手骨近位背側を切除し,内転した中手骨を矯正して固定するclosed wedge fusion(closed 法)の2 つの術式の術後1 年時の成績を比較することである.34 例を対象とした.どちらの術式もVAS,DASH score ともに有意に改善した.Closed 法群で手術時間および固定した中手骨と大菱形骨長が有意に低値であった.術後1 年時のMP 関節痛はopen 法群の37%,closed 法群の13%に認めた.Open 法群では術後1 年時の伸展角度が有意に低値であり,屈曲角度が有意に高値であった.Closed 法による関節固定は術後のMP 関節痛の発生を軽減すると考えられた.それによる筋力低下は生じなかった.MP 関節の術前過伸展はopen 法の方が術後により矯正されていた.