2024 年 41 巻 3 号 p. 267-272
MP 関節の過伸展変形を伴う母指CM 関節障害に対するMP 関節制動手術(VCM)の意義を検討した.術前にMP 関節が15°以上の過伸展変形を呈し,CM 関節形成を施行して6 か月以上の経過観察を行った30 例31 手を対象とした.男性5 例5 手,女性25 例26 手,平均年齢70 歳,平均経過観察期間は2 年4 か月であった.VCM を施行した10 手(P 群)としなかった19 手(N 群)を比較したところ,術前後の平均MP 関節過伸展角度は,N 群では29 度から23 度,P 群では42 度から9 度に減少し,両群間に有意差があった.しかし,術後の平均Hand20 はN 群では17,P 群では29 で有意差がなかった.動態撮影では,N 群においてCM 関節から動き出すC 型は6 手,MP 関節から動き出すM 型は3 手,P 群においてはC 型5 手,M 型2 手であり,両群間に差はなかった.本研究結果から,VCM により過伸展変形はよく制御されるが,VCM の有無にかかわらず患者立脚型評価では差がないことが分かった.