日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
母指CM 関節症に対する第1 中手骨外転対立位骨切り術による背側亜脱臼整復機序
西脇 正夫時枝 啓太石原 啓成寺坂 幸倫三戸 一晃堀内 行雄
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2025 年 41 巻 4 号 p. 433-435

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抄録

母指CM 関節症に対して第1 中手骨外転対立位骨切り術を行った11 例の術前後に,最大伸展位,安静肢位,最大屈曲位で単純X 線側面像を撮影し,骨切り角度,末梢骨片と中枢骨片の角度変化,亜脱臼率を評価した.術前の亜脱臼率の平均は,伸展位27%,安静肢位26%,屈曲位14%であり,屈曲位で小さかった.伸展方向の骨切り角度は平均27°であり,骨切りにより末梢骨片は平均20°伸展し,中枢骨片は平均7°屈曲した.術後の安静肢位での亜脱臼率は,術前より平均11%改善して平均15%となった.安静肢位での亜脱臼率の術前後での改善量と,術前の安静肢位から屈曲位での亜脱臼率改善量との間には,強い正の相関があった.第1 中手骨外転対立位骨切り術では,末梢骨片は伸展するが,中枢骨片は屈曲する.背側亜脱臼は,術直後に全身麻酔下での筋肉が作用しない状態で改善しており,その改善量は術前の屈曲時の改善量と強く相関していた.したがって,術前に屈曲位で亜脱臼の整復程度を評価することが,本法の適応決定に有用な可能性がある.

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