日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
中手骨骨幹部斜骨折に対する手技を工夫した鋼線髄内釘固定
天野 滉大松木 寛之
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2025 年 41 巻 4 号 p. 436-439

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抄録

転位を認める中手骨骨幹部斜骨折に対する手術法としては,スクリュー固定,プレート固定などが一般的に行われている.スクリュー固定はカットアウトが,プレート固定は伸筋腱の癒着などが問題視されており,臨床成績の低下をもたらしている.著者らはこれらの合併症を防ぐために,鋼線によって髄内釘固定をしたのち,縫合糸または軟鋼線で骨折部を締結する手術を行った.5 例6 指を対象とし,全指で転位を認めず骨癒合が得られ,手指の% total active motion(TAM)も100%であり,良好な成績を得ることができた.この方法は,髄内釘固定に縫合糸または軟鋼線による締結固定を併用することで,骨折部の短縮方向への転位と離開を防止できると考えた.また,プレート固定より低侵襲で癒着が起こりにくく,スクリュー固定より固定性が高くカットアウトのリスクが少ない術式だと考えられる.

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