2025 年 41 巻 5 号 p. 491-495
骨傷を伴わない外傷性母指CM 関節脱臼は稀な外傷であり,臨床像や治療成績は明らかでなく,治療法のコンセンサスは得られていない.著者らは,外傷性母指CM 関節脱臼5 例に対して手術治療を行い,術後成績に関して調査を行った.術式は,新鮮例1 例で徒手整復・経皮ピンニングを,陳旧例4 例ではEaton-Littler 法にて靱帯再建術を行い,CM 関節を鋼線で一時固定した上で,いずれも6 週間のthumb spica cast 固定を行った.陳旧例1 例で再脱臼を認めた.最終診察時,再脱臼例含め全例で疼痛はなく,再脱臼例以外の4 例で関節不安定性を認めなかった.本外傷は初診時の見逃しや,患者が容易に自己整復可能なことが一因となり,受診・紹介が遅延して陳旧化することが多かった.新鮮例に対する経皮ピンニングの適応は,受傷2 日目までに手術介入ができ,術中良好な整復位を得ることができた場合に限られると考える.